芥川竜之介書簡集(岩波書店:刊)の中から、1通ずつ、感想を書くことで毎日更新をクセ付けしよう計画!

2通目!!

明治43年(1910年)
4月 山本喜誉司 芝区新銭座町16番地から


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芥川竜之介書簡集 (岩波文庫)

これね、1行目から吹きました(笑) だって……

とうとう英文科にきめちゃった。もう動かないつもりだ。

なんていう文章から始まるんですよ!!

1通目の1行目の、あの堅苦しい文章に、一度読む気力を失ったというのに、2通目ではなんていう砕けた文章なんですか!!

この山本喜誉司さんってどなた?? と、思って調べたら、どうやらご学友のようで。

音楽会に行きたいのだけど、独りでは行けそうもない。もっと行きたい気持ちになったら誘うので一緒に行って欲しい、と、このご学友へお誘いの手紙を出していたようです

ところが、この誘い方がもうなんというか、気持ちがあっちこっちしているのが伝わってくるのです。

来られたら来ないか。
義理でいやいや来たンじゃアいやだ。
来てもかたくなって遠慮しちゃアいやだ。
遠慮しなくっても来てすぐ帰るように忙しいンじゃアいやだ。

来てほしいけど、強制したいわけじゃない。
自分とゆっくり時間を取って会いたいと思ってくれてるなら来てほしい。

という気持ちが伝わって来ます。
ちょっと、言い回しが面倒くさいですけど(笑)

手紙の最後には、

本当に来れたら来給え。
来る前にはハガキで知らせて呉れ給え。待ってるから。
これからちょいちょい手紙をかく。
淋しくなれば方々へ手紙を出す。
その度に返事はいらない。
此方から出した手紙も読ンでも読まなくってもいい。
用がある時は状袋に特にしるしをつけるから。

とも、書いてありました。

芥川竜之介って、淋しがり屋で、極度の気遣い屋だったんでしょうか。
手紙の節々からそんな様子が窺えます。

もし私にこんな友人が居たとしたら、

「グダグダ言ってないで、一緒に音楽会に行って欲しいって言え!! 会いたいなら会いたいって言え!!」

って、言ってしまいそうです。
でも、こんな手紙を書く相手にそんなことを言ったら、二度と手紙が来ないような気もします。
慎重に言葉を選んで返事をしなければなりませんね。

最後に、この手紙には、友人を自宅に呼ぶための道順を説明している文章があります。
その部分に、牛乳の看板らしきものが描かれています。
芥川竜之介が牛乳の看板のイラストを描いていたのかと思うと、なんだか微笑ましいです。

書簡集、2通目にして、すでに芥川竜之介の印象が変わって、可愛く思えてきています。


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