JOE Company(ジョーカンパニー)の舞台『ハオト -羽音-』福岡公演(2015/07/12)の感想です。
今井雅之さんのお別れ会(?)が今日だったと聞いたので、どうしてもこの感想は今日中にアップしたくて頑張って書きました。

■キャスト■

                

水越義和(みなこしよしかず)   松田洋治(まつだようじ)
蓬荘七(よもぎそうしち)     鎌苅健太(かまかりけんた)
貝瀬美智子(かいせみちこ)    未沙のえる(みさのえる)
カバロスキー政孝(まさたか)   市瀬秀和(いちのせひでかず)
自称:閣下(かっか)       金田賢一(かねだけんいち)
荒俣芳雄(あらまたよしお)    小野寺丈(おのでらじょう)
津田恭介(つだきょうすけ)    藤沢大悟(ふじさわたいご)
田中秀明(たなかひであき)    能見達也(のうみたつや)
菅沼守(すがぬままもる)     市原朋彦(いちはらともひこ)
真行寺藍(しんぎょうじあい)   里久鳴祐果(りくなゆか)
真関智世(ませきともよ)     広田礼美(ひろたれみ)
水越正和(みなこしまさかず)   夏樹弘(なつきひろ)
佐藤光輝(さとうみつき)      〃
老人(ろうじん)         矢尾一樹(やおかずき)
森本松太郎(もりもとまつたろう) 島田順司(しまだじゅんし)
鈴木くん(すずき)         〃

 

■ストーリー■
2015年。一人の老人が「人を殺した」と出頭してきた。第二次世界大戦終結から70年。老人の語る過去とは……。
1945年。第二次世界大戦末期の東京。とある精神病院が舞台。

弟が特攻隊となり戦死したことをきっかけに戦争を反対するようになった海軍将校。
自身を“閣下”だと思い込んでいる男性。
多重人格者の軍事博士。
両親が目の前で銃殺されたことをきっかけに銃を撃てなくなった陸軍兵。
伝書鳩を使って未来の人物と文通をしているという女性。
話し合いで和睦を結ぼうと努力する海軍将校。
武力によって勝利を目指す陸軍将校。
日本とアメリカの二重スパイとなった日系二世の男。
病院近くに墜落した米軍機の搭乗員で日系二世の男。

戦争終結へ向けて、各々の事情が絡まり合う――――。

 

■ツアー日程■
6/11~6/15  東 京:新宿・紀伊国屋ホール
6/21     京 都:京都府立府民ホールアルティ
6/24     名古屋:名古屋市芸術創造センター
6/27~6/28  札 幌:札幌スクールオブミュージック専門学校
7/1       広 島:アステールプラザ多目的スタジオ
7/4~7/5   大 阪:近鉄アート館
7/9       熊 本:はあもにいメインホール
7/12     福 岡:西鉄ホール
7/15     金 沢:石川県文教会館  中止
7/19     宮古島:マティダ市民劇場  中止

 

以下、ネタバレ感想。
 


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今年の4月に観に行った舞台“NARUTO”がきっかけで、イルカ先生を演じた市瀬秀和さんに興味を持ちました。
そして、市瀬さんがNARUTOの次に立つ舞台が、この“ハオト”だったことで、初めてこの作品、このJOEカンパニーを知りました。

私は、役者さんの顔と名前をあまり覚えられないので、キャストの中ですぐに分かったのは市瀬さんと、矢尾一樹さんだけ。
とはいえ、せっかく知っている役者さんが二人も居て、しかも福岡までの地方ツアーを組んでくれるという貴重なカンパニーの作品。
是非、観に行こうと決め、知人数人に声をかけたところ、私と同じくNARUTOきっかけで市瀬さんに興味を持ったと言うかたが、一緒に行ってくださることになりました。
キャスティングされている、松田洋治さんは“もののけ姫”のアシタカの声のかただし、未沙のえるさんは宝塚の大地真央さんと同期で花組組長にもなったかただよ! とも、教えてもらいました。

舞台好きの人と観劇するのは楽しいので、ワクワクしながらチケットを予約。
JOEカンパニーのHPのチケット前売りWEB予約から、チケットの取り置きをしてもらうことにしました。
チケットの取り置きというのも初めてで驚いたのですが、当日受け取り、当日支払いということで、座席は当日まで分かりません。
見やすい席だと良いなぁ……と思いつつ、当日受け取ったチケットの座席はD列10番台。
とても素敵な席でした。ありがとうございました。

初めて観劇する作品は、できるだけ前情報を入れずに観ることにしています。
今回、前情報として知っていたのは、戦時中の精神病院が舞台だということ。笑って、泣ける作品だということでした。

他には、
市瀬さんのアメスタ『市RHYTHM』
に、小野寺さん、矢尾さん、鎌苅さんがゲストで出て話してらしたこと。
・市瀬さんはNARUTOの海外ツアーが終わってすぐに初日なので、稽古にはほとんど参加していない。
・市瀬さんは、台本を最初に読んだときは“笑った”らしい。
・島田順司さんが凄い。
・矢尾さんは、普段あまり役を引きずらないけど、今回は引きずっている。(意識して引きずられてる?)
・鎌苅さんは、軍服。
・役者さんは、演じるだけでなく、スタッフ(大道具・小道具・音響など)も兼任する。(補助?)

矢尾さんのニコニコチャンネル『矢尾一樹の出張!! 矢尾ちゃんの部屋』で、矢尾さんが勝平さんとお話ししていたこと。
・サスに入り損ねた。老人の役だったので、杖をついてサスに入り、演出に見せかけて誤魔化した。
・板付きは緊張する。

最後に、宮古島公演で大千穐楽をむかえ、みんなで打ち上げすることを楽しみに稽古している。という旨の話をしていたことが、私の持っていた前情報でした。

そんな中、広島公演の前日に、金沢と宮古島の公演中止が発表されました。
理由としては、観客動員数が予想していたものより下回ったため、金沢公演と宮古島公演を行うと数百万単位の赤字になってしまうから……ということでした。

主宰のブログにて「ツアー開始前に中止にできなかったのか?」という質問が多いという旨と共に、その回答がされていました。
それでも、納得の出来ないかたが多かったと思います。
納得できなかったかたの多くは、金沢公演、宮古島公演に行く予定だった方々かもしれません。
観に行く予定だった公演が中止になることほど残念なことはありません。
楽しみにしていればしているほど、悔しいし、怒りも湧いてくると思います。

それでも、私はこの公演中止を「よく決断したな」と、好印象に思っています。
JOEカンパニーに思い入れもなければ、金沢公演や宮古島公演に行く予定でもなかった私の思いはとても軽いので、他人事ではありますが。

私は、観劇が好きです。
観劇が好きな人なら、劇団が維持していくことの難しさを知っている人は多いと思います。
劇場のレンタル費用、大道具や小道具、衣装、出演料など、1つの公演に掛かる費用は莫大です。
とくに、地方ツアーを回るともなると、移動費や滞在費もかかります。
劇場が満席になったとしても、赤字、良くても±0だったり。
グッズを買ってもらうことで利益を出す。というのが、通説です。

福岡は、あの劇団四季ですら観客動員数が減り続け、劇団四季専用劇場だったキャナルシティにあるシティ劇場を手放し、撤退していった程、劇場が埋まらない都市です。
ジャニーズ主演の作品ですら席が埋まらず、二階席のチケットを取っていたのに、当日行ってみたら二階席は閉鎖され一階席を埋めるためのチケットへ交換されたこともあります。

そんな福岡へ、ツアーで回ってきてくださるカンパニーは本当にありがたいのです。
中止になったのは、金沢公演、宮古島公演ですが、福岡公演もきっと赤字だったんじゃないかと思います。
もし、ここで金沢公演、宮古島公演を決行したとして、大赤字になった際、待っているのはカンパニーの消滅という可能性です。

今回の公演を無理矢理決行したことで、今後の公演ができなくなったとしたら……。
それは、この作品、このカンパニーを好きな人からしたら、一番ツラいことなのではないでしょうか?

私は、劇団四季が福岡から撤退した時は、とてつもなくツラかったです。
それでも、劇団四季がその決断をしてくれたおかげで、劇団四季の赤字が少しでも減ったのなら良かったな、と思えるようになりました。
常設じゃなくても、福岡公演はしてくれるし、まだ全国に専用劇場はあります。
観に行こうと思えば観に行けるのです。劇団そのものがなくなってしまうよりは良かったと、今は心の底から思うのです。

今回の“ハオト”を一部の公演を中止にしたことは、カンパニーが存続していくための、大切な決断だったと思います。
主宰の小野寺さんは、今回の悔しさを胸に、いつか金沢公演と宮古島公演を果たせるよう、また再演することを心に誓ったのではないでしょうか。

主宰の小野寺さんは、この“ハオト”は「今井雅之さんの“THE WINDS OF GOD”という舞台に立ったことがきっかけで出来たもの」と言っていました。
その今井さんは、今年の5月28日にお亡くなりになりました。
小野寺さんは、THE WINDS OF GODで舞台に立った「紀伊国屋ホール」「近鉄アート館」、THE WINDS OF GODではないけれど同じく今井さんの舞台「誠」で立った「西鉄ホール」を、このハオトで、このタイミングで公演できたことは偶然だけど、偶然じゃない気がする……と、おっしゃってました。

偶然じゃないと言うのなら、もうひとつ。
今年のTHE WINDS OF GOD全国ツアー、5月27日に福岡の西鉄ホールで行われる予定だった公演が中止になっていました。
THE WINDS OF GODが中止になった会場で、大千穐楽を迎えたハオト。
偶然とは思えません。
小野寺さん、分っていて福岡公演までやってくださいました? それとも、知らずに?
THE WINDS OF GODの公演中止、福岡公演だけじゃありませんでした。公演が中止になるというのは、何もハオトだけではありません。
どれだけ有名な作品でも、事情によっては公演中止になるものなんです。
小野寺さんが、福岡公演で大千穐楽を迎えたこと、きっと今井さんも喜んでくださっているんじゃないかな? と、勝手に思っています。

THE WINDS OF GODに関して。
小野寺さんが「THE WINDS OF GOD」と、何度も口に出していらっしゃいましたが、実は私は「THE WINDS OF GODってなんだ?」と思いながら聞いていました。
ところが、ハオト観劇後、一緒に観劇した知人に
「戦争が題材の舞台は、昔に観たことがあるけど、タイトルを覚えていない。現代人が戦時中にタイムスリップして特攻隊員になるんだけど……。大きなセットとかなくて、長机と少しの小道具だけ使ってて……。照明も白色のみで、ほぼピンスポットだけだったような……。」
と、言ったところ、
「それが“THE WINDS OF GOD”だよ」
と、即答されてしまいました。

ええっと……、私、THE WINDS OF GODを観ていたようです。
驚きました。
中学生の頃、学校行事の一環で観劇した作品でした。(ただ、詳細な日程、観劇場所は覚えていません)
チケットもパンフレットも持っておらず、役者さんの顔も名前も分からず、内容しか覚えていませんでした。
でも、この作品を観たことで、私は舞台を観に行くのが好きになったのです。
セットもライトも、派手なものは要らない。役者さんが立っているだけでそこに景色が見える。
内容もさることながら、舞台というものの素晴らしさに魅了された作品でした。

そして、この作品を観ていたわけですが、たぶん、私が観た公演に小野寺さんも出演されていた可能性が高いということですよね。

“ハオト”は“THE WINDS OF GOD”がきっかけで作られた作品。
“THE WINDS OF GOD”がきっかけで観劇好きになった私。
原作のNARUTOが好きで観に行ったNARUTO舞台、そのNARUTOの中でも一番好きなキャラクターであるイルカ先生を演じた市瀬さんに興味を持ち、たまたま観劇することを決めた“ハオト”。

THE WINDS OF GODとの関係性は後付けになりますが、知らないまま観劇したことに驚いています。

これから先、ハオトを思い出すとTHE WINDS OF GODを思い出すようになると思います。
THE WINDS OF GODを思い出すと、ハオトを思い出すようになると思います。
このタイミングで“ハオト”を観劇したのは偶然ですが、とても縁を感じます。
観ることができて、良かったです。

とはいえ、THE WINDS OF GODのことは観劇後に分かったことで、ハオトそのものは、市瀬さんと矢尾さんを楽しみに観に行きました。
なので、この福岡公演が大千穐楽になったことで、予定されていたアフタートークが無くなり、キャスト全員が一言ずつ挨拶をするというものに変わったことが、正直ガッカリ。
アフタートーク、すっごく楽しみにしてたんです。
事情は察せます。大千穐楽ですもの。大千穐楽の後にアフタートークなんてしている暇はないでしょうとも。
撤収作業もあるし、打ち上げもありますしね。アフタートークに出ない役者さんを待たせるわけにもいかないでしょう。

それでも、残念だったんです。
大千穐楽のキャスト全員の挨拶という貴重なものを拝めたとしてもね。

そんなキャスト全員の挨拶と感想。(うろ覚えなので、雰囲気で/笑)

■水越正和・佐藤光輝役の夏樹弘さん。
「一番年下です。先輩方がきっと素晴らしい挨拶をしてくださるので、僕はこれだけ……」と、舞台袖から物販で売っているグッズの入ったカゴを受け取り、「入り口横のスペースで売ってますので是非!」と、宣伝(笑) お茶目な人なんですね。
2015年のシーンでは、矢尾さんが演じる老人と対面する二人芝居を。
1945年では、特攻隊員を演じ、松田洋治さんが演じる兄と再会し別れを告げるシーン。あのシーンではベテランである松田洋治さんの役を食う勢いでとても素晴らしかったです。
この作品の中で、一番好印象に残ったシーンでした。

■菅沼守役の市原朋彦さん。
「素晴らしい先輩方がたくさんいて……」と、夏樹弘さんの挨拶と重ねて笑いを取り、
「サスに入れない先輩がいたり」(矢尾さんのこと/笑)「遅れてくる先輩がいたり」(鎌苅さんから「もういいよ!」と止められる)というやり取りで会場を笑わせてくれました。
「私事ではありますが……」と、前置きし、「祖父には兄弟がたくさんいて、そのたくさんいる兄弟の中で唯一戦死したという兄弟の名前が“マモル”だと教えてもらった。それを聞いてから、この“守”という役への思い入れが強くなった」と、胸元をグッと握りしめての挨拶でした。
菅沼守は銃が撃てないことで戦地には行かず、精神病院の警備を受け持つ陸軍兵士。
警備をしていると言っても、本当だったらトラウマを持つものとして入院していてもおかしくない人物。
現に、目の前で銃を撃たれて絶叫していたシーンでは鳥肌が立ちました。
その反面、入院患者である藍ちゃんの思いを寄せる姿がとても可愛らしかったです。
だからこそ、藍ちゃんが手首を切って自殺を図ったことがきっかけで、撃てなかった銃を使って人を殺してしまうという、怒りと衝動と、我に返った時の混乱が凄く伝わってきました。

■閣下役の金田賢一さん。
主宰の小野寺さんが御名前をド忘れしたらしく、名前で紹介してもらえず……(苦笑)
それでも「あ、私ですか? 金田賢一です」と、にこやかに挨拶をされる姿に、金田さんの懐の深さを見ました。
閣下が病院服の上から羽織っていた黒の燕尾服。
「30年前に結婚式で着て以来、30年ぶりに着ました。まだ着れるんだぞ!」と、体型が変わっていないというアピール。
そ、それは凄いです!! というか、その燕尾服衣装は自前なんですか!? という驚きでした。
自分を閣下と思い込んでいて、みんなに「閣下」と呼ばせたり、「頭が高い!」と怒鳴ったりすることで、みんなが気をもんでいた人物。
そして、何故か戦時中の作戦、戦果を100%当てるという予言能力の持ち主。
ところが、電気ショック療法で“閣下”という人格は無くなり、ただただ気の弱い男性になってしまった。
“閣下”だった頃のビシッとした姿勢で座る姿と、“閣下”じゃなくなった頃の猫背で弱弱しい姿のギャップが凄かったです。
弱弱しい閣下にはとにかく笑わせてもらいました。
特に、戦争終結の予言を下ろす際にカンニングペーパーが出てくるところ。そして、読めずにアタフタしているところには笑わせてもらいました。

■真行寺藍役の里久鳴祐果さん。
「藍ちゃんが劇中で言っている“大丈夫、大丈夫”という言葉は、普段でも使える言葉です。家族や友人にも“大丈夫、大丈夫”って言ってあげてください」という挨拶。
この“大丈夫、大丈夫”という言葉の優しさは里久鳴さんが言っていたから、とっても優しく響いて聞こえたものだと思います。
里久鳴さんの“大丈夫、大丈夫”という声が、耳の奥に残ってます。
2015年を生きる人と伝書鳩で文通をしているという藍ちゃん。そんな不思議な行動をしているからこそ、精神病院に居る女の子だったんだと思う。
文通相手が教えてくれる戦争の状況を閣下に伝えることで、閣下は予言を下ろしていたという。
「誰か私を見つけてください」という手紙を括り付けて飛ばした鳩が、2015年を生きる人へ届いた。見つけてくれた。と、守くんに語る藍ちゃん。
大切な拠り所だったその鳩を殺されてしまった藍ちゃんは、ショックで自殺を図ります。
藍ちゃんのその行動にショックを受けた守くんが銃を持ち出してしまうという、悲しみの連鎖がツラかったです。

■カバロスキー政孝役の市瀬秀和さん。
主宰の小野寺さんから「市瀬“ヒデアキ”」と、名前を間違えて呼ばれるものの、そのままノって「市瀬“ヒデアキ”です!」と自己紹介していました(笑)
客席の一部がザワッとしていたり、クスクス笑っていましたが、市瀬さんファンの方々でしょうか? 私も笑ってしまいました。
そんな市瀬さんは「私事ではありますが……」と一歩前に出て話し始めます。
市瀬さんは役柄もあって、三つ揃えのスーツを着ていて、メガネをかけて、オールバックの髪型。改まった姿勢で話し始めるので、いったいどんな挨拶を? と、こちらも真剣に聞く姿勢でいました。……が、
「福岡……好きっちゃ!」と、大きく宣言(笑) 真剣な話かと思って身構えていたのに、まさかの博多弁に会場がドッ! と、笑いに包まれていました。それを見てガッツポーズをする市瀬さん。
そのまま挨拶を終わった市瀬さんに、鎌苅さんが「名前、そのままにしないで否定して!」とフォロー(笑)
「市瀬秀和です」と、改めて自己紹介をすると、主宰の小野寺さんが横で手を合わせて謝罪のポーズを。
それをみた市瀬さんは「あとで飲みに行こう」というようなジェスチャーを返していました。
すかさず、「なんだよ! 飲みに行くって!!」というツッコミをする鎌苅さん。仲が良さそうなのが伝わってきました。
市瀬さんが突然「福岡、好きっちゃ!」と言ったのか……というと、多分舞台の最中に博多弁でのアドリブを失敗したからじゃないかな? と想像。
市瀬さんが演じるカバロスキー政孝はソ連の外交官という設定。
ずっと威圧的な姿勢でいる中、周りではドタバタ劇が繰り広げられています。カバロスキーが出ている間中、周りのドタバタが面白くて、客席は笑いっぱなしでした。振り回されつつも笑わずにカバロスキーでいられる市瀬さん、凄かったです。
そんな中、「別室にどうぞ」と言われ袖幕へはける直前、市瀬さんが唯一ボケられる個所だったのかな?
私は、紅茶が……い、いっちょん好いとうばい!」と、アドリブを入れました。
ところが、会場は笑うというよりも、ざわめくという微妙な空気に。
舞台上で他の役者さんから(鎌苅さんかな?)「ヘタくそ」というツッコミを入れられたことで、会場は笑いに包まれました。ナイスフォロー。
ええ、市瀬さん、博多弁の使い方を間違っております(笑)
“いっちょん”の後にくる言葉はほとんど否定されるものなんです。“いっちょん好き”とは言いません。なので、“いっちょん好かん”が正解。(全く好きじゃないという意味)
もしかして、本当は“いっちゃん好いとうばい”と言いたかったのかな? “いっちゃん”は“一番”という意味(西日本は使うよね?)なので、“一番好き”という意味になるし。
アドリブで失敗したので、カーテンコールで挽回したかったのか? と、思いました。
市瀬さん、おもしろい人ですね! 無事に笑いが取れて何よりです(笑)
スーツは自前の衣装なんでしょうか? 凄く似合っていて格好良かったです。

■真関智世役の広田礼美さん。
申し訳ないですが、カーテンコールでの挨拶の詳細は覚えていません。記憶力のなさに絶望しています。
真関ちゃんは、患者に寄り添う看護師。失敗して落ち込んでいたところを水越さんに励まされ支えられるものの、海軍に復帰してからの水越さんの心が遠くなったことに戸惑いながらも信じていた健気な女性でした。
水越さんを庇って撃たれた後、水越さんに“おまじない”を返す姿が印象的でした。

■水越義和役の松田洋治さん。
こちらも、申し訳ないですが、カーテンコールでの挨拶の詳細は覚えていません。記憶力のなさに絶望しています。
水越義和は、弟が特攻隊員として死んだことがきっかけで戦争反対を唱えるようになったことで、精神病院に入れられた海軍将校。(階級忘れた)
ところが、死んだと思っていた弟は生きていて、「兄が非国民だ」と言われて苦しんでいることを知る。
特攻隊員として再度飛び立つという弟と再会し、別れた水越は、米軍を憎み、海軍に復帰し、戦争遂行派となった。
蓬将校が漕ぎつけた和平への道である契約書を破り捨て、荒俣博士が作れるという核兵器で敵を倒すと高らかに宣言する。
「大切な人を亡くす戦争に反対」していた水越さんは、とても穏やかで、看護師である真関ちゃんを励ますなど、優しい人だった。
ところが、その姿は当時は“非国民”と言われるものでした。
海軍へ復帰した水越さんは無表情の冷たい人間になっていたが、当時はそれが普通だと思われる状況だったんです。
戦後70年を迎える今の時代、精神病院に入っている時の水越さんの姿こそが普通で、海軍に復帰して米軍を憎み続ける姿の方が異常にしか見えないのだけど、戦時中というのは、それが逆転するものなんですね。
松田洋治さん演じる水越の変化に、胸が痛くなりました。
米軍を憎み、銃を乱射する水越の姿は狂っていて、観ていてとてもツラかったです。
最後に、大切だと思っていた真関ちゃんが死に、我に返った水越の表情が印象に残っています。

■蓬荘七役の鎌苅健太さん。
カーテンコールでの挨拶の詳細は覚えていません。本当に記憶力のなさに絶望しかありません……。市瀬さんと細々やりとりしていたことは覚えてますが……。
蓬荘七は、ソ連の外交官と交渉して戦争終結へ向けての仲介を頼むことに専念していた海軍将校です。(階級は忘れた)
尊敬していた水越の腑抜け具合に黙っていられず、弟と再会させましたが、そのことがきっかけで、せっかくのソ連外交官との契約書を破棄されることとなってしまいました。全てが無駄になった時の愕然とした姿が印象に残っています。
契約を結ぼうと必死で、真っ直ぐな青年だったように思えます。

■津田恭介役の藤沢大悟さん。
「こんな(細い)体型で米軍と日本の二重スパイ役ですが……」と笑いを取っていました。挨拶の詳細は覚えていません。
ハワイ出身の日系二世で、二重スパイな津田恭介。
海軍の蓬将校の元で、米軍を裏切り日本側の偽情報を流す。精神病院に収容されることで、スパイだということを誤魔化す作戦。
患者のフリってどうすれば? と問うても、自分で考えろと丸投げされたことにより考え出した患者のフリが、フラダンスのラフィア・フラをつけて、首を振りながら「あへあへ……」と言い続けること。
途中でラフィア・フラから患者服に変わってましたが、藤沢さんすっごいイケメンなのに、よくぞこんな姿を見せてくださいましたね……。
津田恭介は、蓬の下に付くことでハワイにも日本にも被害が行かないように早く戦争を終わらせたかったんだと思うんだけど、水越さんが契約書を破り捨て、米国に爆弾を落とす――ハワイにもだ! と宣言したことにより、日本側を陥れることに決めた。
ただ、同じハワイ出身の田中秀明に裏切り者だと言われ、殺されてしまう。
最後の、銃を向けあうシーンが切なかったです。
精神病院から脱出した直後、客席を走って舞台上に登って行ったのですが、私の席の横の通路を走って行きました。
凄くスタイルが良かったです。

■田中秀明役の能見達也さん。
「特殊部隊出身の役なのにこんなに細くって……」と笑いを取る。挨拶の詳細は覚えてません。
田中秀明は、津田恭介と同じハワイ出身の米軍兵。
精神病院近くに墜落した米軍機の搭乗員だったが、病院敷地内で津田恭介と会い、蓬に掛け合って津田恭介と同じく患者として病院に収容されることになった。
精神病患者を突然演じることになって、思わず体中を動かし続ける(腰を回したり両手を振り続ける)という選択肢をしたものの、かなり間抜け。「恭介は首を振ってればいいだけだからズルい」と後で愚痴っているシーンもあった(笑)
そんな田中秀明。実は、墜落したのは偶然ではなく作戦だった。裏切り者を始末するように命じられて精神病院に潜入したものの、まさか相手が同郷の人間だとは思っていなかったという。
戦争が始まってから日系というだけで差別されることへの怒りと、ハワイにいる家族を守るために、必死に米国に忠実な兵士として生きていた人だった。
それが、同郷の人間に裏切られるとは……と、疑心暗鬼になって、津田恭介と銃を向けあうことになってしまう。
米軍がどちらを信じるのか試すために、精神病院を米軍機に攻撃させ、自身の正当性を宣言し、自身共々病院を爆撃され最後を遂げる。
客席階段から降りてくるシーンと、ラストの精神病院銃撃の時に、米国の国家を口ずさみながら出てくるのだけど、これがとても怖かった。ゾッとした。
表情、佇まい、言葉が狂気だった。

■森本松太郎・鈴木くん役、島田順司さん。
挨拶の詳細は覚えていないんだけど、カーテンコールで並んでいる中で一番の存在感でした。
衣装は陸軍の制服ではなく病院服という、一番地味な恰好をしていたのに、島田さんに目が行ってしまう。凄い役者さんです。
森本陸軍将校(階級忘れた)は、戦争遂行派。戦略を100%当てる閣下の予言を頼りに病院へ訪れていた人物。ところが、病院の管轄をはずされることに。
鈴木くんは、裸で病院近くを走り回っていたボケた(?)老人。
森本陸軍将校と顔がそっくりだということで、ソ連外交官との対談に森本将校の替え玉として送り込まれることになった。
森本将校のフリを教え込まれる鈴木くん。お菓子に釣られる姿が可愛くてたまりませんでした。
ソ連外交官カバロスキーとの対談シーンは面白すぎてずっと笑ってました。他のキャストを本気で笑わせようとしてたんじゃないでしょうか?
そして、島田さんは77歳らしいのですが、舞台上を駆け回る動きはどう見ても77歳の動きじゃありません。
素早いです。77歳であんなに体を動かせるって凄いと思います。

■貝瀬美智子役、未沙のえるさん。
元宝塚花組の組長をした人なだけあって、挨拶は堂に入っていました。言葉も凄く聞き取りやすかったです……が、覚えていない私の脳みそ本当にどうにかしてほしい(涙)
貝瀬美智子は病院の看護婦長。鬼だと言われているものの、患者はもちろん、将校たちをも支えていた存在でした。
水越さんのお母さんの形見だという財布を没収したかと思ったら、水越兄弟再会の際には財布の中身を足した状態で返してあげるなど、とても優しい素敵な人でした。それ以外の所は、ほとんどみんなでドタバタしていた面白かったです。

■老人役、矢尾一樹さん。
カーテンコールでの挨拶は覚えていませんが、3度目か4度目のカーテンコールではもうハケてたのか、なかなか舞台上に現れず……市原さん(かな?)が袖幕にお迎えに行っていました(笑)
何度も拍手してごめんなさい(笑)
そんな矢尾さん、ニコニコチャンネルの放送でハオト東京公演のお話をされていました。
「蓄光の目印がほとんど見えず、立ち位置を間違えてサスの場所と違うところに立っていた」とおっしゃってました。
老人の役だから、杖をついてサスに入って行って誤魔化した……と。板付きは緊張するとしきりに口にしていました。さて、福岡公演。
照明も完全に落ちた暗闇の中、矢尾さんの「誰か居ませんか? 自首しに来ました。人を殺したんです」という言葉から始まりました。
ああ、この後、矢尾さんが登場するんだな……と心待ちにしていたところ、舞台上の二か所に、サスが射します。
上手側に白いシャツを着た若い男性が。
下手側には……誰も居ない。
すると、暗闇からカツンカツンと音がして、サスの中へ矢尾さんが入って行きました。
えっと? これはまたしても失敗したんでしょうか? 矢尾さん?? それとも、わざとだったんでしょうか??
一度失敗して演出に見せかけたという話だったので、その後の公演も全部そうしたのかな?? と、思ったんですが、どうなんでしょうか?? 気になります(笑)
矢尾さんが演じる老人は、名前が分かりません。刑事の佐藤光輝に、過去の罪を語ります。
病院内の詳細を語れるということは、あの病院内に居た誰かなのだと思います。
いったい誰なのか。
ラスト、病院の跡地で藍ちゃんの孫にあたる人物に出会う老人は、藍ちゃんの孫だと言う少女の胸元に付けられた赤い花のブローチを見て、自分が藍ちゃんに贈ったものだと告げます。
老人は守くんでした。
「祖母のお線香をあげに来てください」と言って去って行った藍ちゃんの孫。
そこに、白い鳩が飛んできます。鳩の脚には手紙が括り付けられており、老人が開いて読んでみると――
「誰か私を見つけてください」
という言葉が。矢尾さんの声で読み上げられたそれに、鳥肌が立ちました。
守くんが藍ちゃんに聞いていた手紙の内容と一緒です。
守くんは藍ちゃんの文通相手に嫉妬していましたが、実は未来の自分だったんですね。
藍ちゃんの文通相手が自分だと察した老人は、崩れ落ち、鳩を大切に抱きかかえます。
どういう結果が待っているか分かっていても、藍ちゃんのために文通を始めるんだろうと思うと、切ない気持ちでいっぱいになりました。
老人が崩れ落ちた直後、たくさんの紙飛行機が落ちてきます。風に乗ってクルクルと回って、飛んで、落ちて行きました。

■荒俣芳雄役、小野寺丈さん。
カーテンコールでは、島田さんから紹介され、挨拶が始まりました。
今井さんのTHE WINDS OF GODの話をする小野寺さん。
金沢公演と宮古島公演を中止にしたことを気に病んで、謝罪を述べていた小野寺さん。
感慨深いこと、悔しい気持ち、申し訳ないという気持ちはそれはもうとてもとても伝わって来ましたが、その気持ちが強すぎて、場の空気が重くなっていたことにはお気づきにならなかったと思います。
個人的な感情として言わせていただくと、確かに金沢公演と宮古島公演の中止は残念なことだとは思いますが、だからと言って他の公演での空気を重くする必要はなかったと思います。
もともと福岡での観劇しかできない私からすると、前後の公演はあまり関係ないのです。
福岡公演、素晴らしかったと思います。カーテンコールでスタンディングオベーションしたかったくらいです。
でも、挨拶で空気が重くなってしまって、立てる雰囲気じゃありませんでした。
「いろいろあったけど、無事に終わりました」なんて言葉を、数人の役者さんが口にしてましたが、それって良い言葉とは受け取れません。
後味が悪かったんじゃないかな……と、勘繰られずにはいられませんでした。
戦争ものとは言っても、ハオトは笑って泣ける作品でした。
福岡県民はお祭り好きの人間が多いです。本当だったら、大千穐楽の空気をもっと盛り上げられたと思います。
福岡での大千穐楽、素晴らしかった!! という空気で終わりたかったです。気持ちを伝えたかったです。
そうしたら、観ている側はもちろん、役者さん側だって、いろいろあったけど、福岡で大千穐楽むかえられて良かったね! って思ってくれたかもしれません。
別の公演で、もし福岡まで回ってきてくださるなら、是非リベンジしてほしいし、リベンジさせてほしいです。

さて、そんな小野寺さん演じる荒俣博士。
多重人格者で、荒俣博士の人格はラスト近くまで出てきません。ほとんどがカジタニ医師。
他にも、大工や魚屋や、その彼女や、シベリアの国境付近で恋人と生き別れた人物やら、コロコロと変わります。
落語みたい……と思ったところで、舞台上でも同じことを言われていましたね。
人格が変わっても同じようにしか見えないという言葉に「演技力がない!? それだけは言うな! それだけは!!」と叫びながら連行されていく姿が面白かったです。
演じ分けができてないという言葉ほど心に突き刺さる言葉はありませんもんね(笑)
他にも、「カバ子ー!!」と、カバロスキーに抱き着いていく姿には笑いました(笑)

 

10年ぶりに再演さたこの作品。今年のこのツアー以降、次に再演されるのは10年後かもしれないという。
そんな作品に、このタイミングで出会えたことに、とても強い縁を感じます。
とても素晴らしい作品に出会えたことを嬉しく思います。

 


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